トニー賞を受賞した話題作だということは知っていたけれど、
日本語版を観に行きたいという気持ちが起こらなかった「春のめざめ」 ところが急転直下、zatoumushiさん企画ツアーのおかげで、ほんとの直前にお仲間に加えていただいちゃいました。 この企画ツアーはほんとに毎回楽しいです。特に観劇後のトークが(笑)! なので、その後のお食事&懇親会の席で参加されたみなさま方からの貴重な お話なども織り交ぜながら私の感想文を書きすすめてみたいと思います。 (写真は都内メトロ駅に掲示されていたポスター) ストーリーについては、初体験、自殺、妊娠といった重たいテーマ扱っているという程度の知識のみ。 音楽は10曲ほどはオリジナルキャストアルバムの音源をたまたま入手していたので先に聴いていたけど、 いわゆるオルタナティブ・ロックといわれているほど、私にはロックには聞こえませんでした。 ま~私自身がオルタナに親しんでいなくて、あまりピンとこないっていうのかな。 その程度の予備知識で、観劇に臨みました。 さて、以下折りたたみ部分に感想を書きますが、ネタばれしてますので、これから観劇する方は、読むか読まないかのご判断はお任せします。 一幕目が終わったときに、お隣の席にいたSさんに思わず聞いてしまいました。 「これって、センセーショナルな舞台なのかしら。映画やテレビドラマだったら、セックスや暴力シーンなんて当たり前でしょう?」 前半部分では、どうして子供ができるのか分からないと母に迫る娘、ベンドラ(役名は四季のキャスト表のとおり表記)や、教師に抑圧される生徒たちのナンバーがある。 自分の中の何かが爆発しそう。何かが変わろうとしている。 でも、大人たちは何も教えてくれない。質問することすら許されない。 そんな鬱屈した若者たちの姿が描かれていて、初体験シーンまで一気に上りつめる。 でも・・・???? 「そうね。でもミュージカルでは、真正面からセックスに向き合って描かれた作品ってないんじゃないかしら。そういう意味では画期的といえるのでは。」 (Sさん、文章訂正したほうがよければおっしゃってネ) そっか~。そういうことか。 でも、だとしたら、なんかパワー不足じゃないかな。 「ま、統制されている時代の中にいる人物を演じる俳優さんたち自身が、統制されちゃってる感じよね。」 「うん。開放してあげたいね。もっと自由に演じていんだよ、って言ってあげたいね。」 どうして、そんなふうに感じたかというと、あの執拗なまでの開口台詞。いわゆる四季節。 年々、きっつくなっているように感じちゃう。 私は30年以上前に四季のストプレを観ていたけど、ここまでじゃなかったと思う。 母音しか聞こえないような、感情がこもっているとは思えない、どこか異次元的響きを持つあのしゃべり方。 舞台の発声というのはとても難しいとは思うけど、あそこまでやられちゃうと、失笑を隠せないお客さんは たくさんいるのではないかしら。 大事なお芝居部分で、しらけてしまうんですよ。 まったく若者らしさがない。 若さっていうのはこの作品の大事な部分なんだと思うんですよね、やっぱり。 米国で観た方たちに聞くと、出演者たちがリアルに若くて、 とにかく凄まじいパワーを発散して観客席にせまってくるんだって。 確かに観劇後に改めてYouTubeでBWのパフォーマンスをちょこっと観たけど、 なるほど伝わってくるものが違うなと思った。 とりあえず、2007年トニー賞授賞式でのパフォーマンス 笑いをとる場面なんだろうなというところで笑えない。 そうそう、ウィーンで同じ作品をご覧になった方の感想も読ませていただいたんですけどね、自慰シーンなんかでは、ブロードウェイもウィーンも大爆笑だったんだって。 やっぱりね~。 これはね日本人のお客さんだから笑えなかったんじゃないと思う。 四季はなるべく卑猥にならないようにクリーンにしようと創ったつもりが、ある意味、すごいウェットなのよ。 こぉ~なーんてゆーんだろ。 突き抜けちゃうような、爆発するような、「アノ」ことだらけで頭いーーーっぱいなイッチャッタ感じがしないのだわよ。 妙につくりこんでるような、大人目線を感じちゃうのよ。 で、自慰シーンに戻りますけど(笑)、だからあのシーンで、観客席みんな生唾ゴクリの静止状態になっちゃったのではないかなと。 だって男子の自慰シーンなのに、女の子たちがまわりでぴょんぴょこ踊ってるんですよ。 かわいくって、楽しくって、なんだこりぁ、うっそー、的なシーンだったのではないかと。。。。 これはボーイズラブなシーンなんだけど、そこはかとなくおかしいよね、BWだと。 で、日本のハンシェン役(これもドイツ語だと意味のある呼び方らしいですが)の役者さんは、 日本語が母国語の方ではなかったのよ。(四季は中国、韓国出身の役者さんたちにも 日本人の芸名をつけるので、名前みただけだと、どこの国の方だか分からないのです。) でも四季のあのしゃべり方だと、彼の特徴ある日本語台詞が、あんまり違和感ないわけ。 俳優としての経験が浅い若い俳優や外国人の俳優さんたちに、ちゃんと台詞をしゃべらせる 技術として、あの開口式の発声なり演技方法は有効なんだろうなと気づかされました。 もお、こんなこと考えながら観てるわけだから(笑)、楽しんだとかそーゆーレベルではございませんでした。 ロックが好きなぺ猫さんは、音楽はどう思いましたか?って何人かに聞かれたのですが、 どんなカテゴリーに属するロックであっても、やっぱスピリットが大事だという基準からすると あんまりロックしてなかったな~という印象。 ナマバンドなのはすっごく嬉しいけど、でも、なんか違う。 いや、きっと全然違うのかも。 ロックしてない。はじけてない。ノッてこない。 マイクスタンド使ってモーリッツが歌うところなんかもっともっと、お客さんに向かって歌ってよかったんじゃないかなと 思っちゃうんですけどね。どうなんでしょうかね。 YouTubeとか観ると↓、 やっぱいい音楽じゃないのと思ったのですけどね。。。 Bitch of Living ラストシーンが、謎でした。 出演者全員が、笑顔でまっすぐ前を向いて、明日を生きていこう~♪ って、唐突に歌う感じなんですよ。 え? さっきの墓場のシーンは何? ベンドラがどうして死んだのか、あんた分かってないわけ? と、メルヒオールを責めたくなるような展開。。。 いや、その前にですね、そもそもベンドラという女の子は何を考えているのかが分からなかったです。 冒頭シーンで、からだの中の何かが変わっているの、ママ、教えて欲しいわって歌を歌った ↓ その後は、なーーーんにも知らない小学生 ママ、ママ、ママ~。どうしたら赤ちゃんができるの~? ↓ メルヒオールに押さえられ、いやん、待ってと抵抗するそぶりで、 主導権は彼が持っているのよって感じをもたせたまま、 すんなり行為は完結し、はじめての恥ずかしい経験のあとに、恍惚の表情。 ↓ 更正施設に入っているメルヒオールに、「愛している」と手紙を書く なんというか、大人が無理に子供っぽさを表現する演技になっているので、 若い娘のぴちぴちした感じがしなくて、老けた感じが出てしまったのかも。 四季の女優さんらしい、女優さんになっていました。 トニー賞8部門受賞作品なんですよね~。 確かにセットも良かったし、照明も素晴らしかったです。 でも、でも。。。。。日本語版はやっぱり、私にはとても飲み込めない内容になっていました。 主演のメルヒオールとモリッツ役の子たちは、とっても上手だったと思います。 頑張って欲しいです。 ほんとだったら、アメリカみたいにMTVとかで特集組んでもらえるくらい 若い子たちからの支持を得られたのではないかと思うのだけど、 もったいないように思います。 アダルト二人の俳優さんたちは、一緒に観た方たちみんなが、力不足だよねと言ってました。 ただ、この作品の意図していることは舞台を観て、その後YTを改めてよく観てなんとなく分かりました。 アメリカって、ときどきメチャクチャ保守的な方向に進むんですよね。 ところが、それが行き過ぎた、という時期に反対方向へ揺り動かそうとする力が働く。 この作品は、2000年頃から構想が練られた作品らしいですが、 やはり、保守化していく社会へのアンチテーゼなんでしょうね。 日本人には向かない作品なのかな。。。。 どうなんでしょうねぇ。。。
by tomokot2
| 2009-05-25 06:52
| ペ猫が観た舞台・ライブ
|
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