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日本のJCS アルバム・レビュー ~DADAさん~
このJCSブログでは、私以外の方にも記事を投稿していただいていますが、今回は、DADAさんの登場です♪

折しも私が76年の日本キャストの記事を書いた直後にいただいたので、続けてご紹介させていただきます。本当に嬉しいです。DADAさんは、凄い時間をかけてCDを聴き、本文を書いて下さったことと思います。お一人でも多くの方に読んでいただけたらと思います。

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「ジーザス・クライスト・スーパースター」
劇団四季1976年東京キャスト盤CD を聴いて。。。~感想~ by DADA


劇団四季のJCSは実際の舞台を観ていないので、あくまでも今回聴いた1976年東京キャスト盤CDの感想ということに限らせていただきます。

JCSに関しては、何度もお話していますが1973年の映画を子供の頃、当時映画館で観たこと、最近そのサントラ盤のCDを聴いたこと、あとはネットで映像や音源を細切れに見聞きしたことしかありません。
映画の記憶も映像として残っているのはごくわずかで、あとはぼやっとしたイメージしかありません。

音から受ける印象だけで書いた感想です。おかしな箇所が多々あるかもしれません。どうぞご了承ください。

劇団四季のミュージカルは、1980年代と記憶しているのですが、「コーラスライン」と「キャッツ」を観たことがあります。
何年の公演時かは定かではありませんが、劇団四季のJCSの舞台が巷で話題になっていたことは、覚えています。
ペルシャ猫さまからご紹介いただいたJCS四季バージョン(3月1日記事)、いつの公演の音源かわかりませんが、
数分だけですが聴いてみたら、みなさん熱唱されていて、とくに芝清道のユダは良かったです。

前置きが長くなりましたが、そんなわけで、期待を持ってJCS四季1976年東京キャスト盤CDを聴き始めました。

曲の邦題は1976年東京キャスト盤CDのジャケットに記載されているものを転記しました。
disc1、disc2で通し番号に変えました。
歌詞は私の耳に聴こえたように書きました。正確ではないと思います。悪しからず。


1.「序曲」OVERTURE

日本のJCS アルバム・レビュー ~DADAさん~_d0079799_23365377.jpgギターの音色と風の吹く音から始まる序曲。
電子音が時代を感じさせる音で少し気になりますが、
オーケストラは素晴らしいと思います。
電子楽器による同じフレーズの繰り返し、
ピアノの音も加わり、♪「スーパースター」のメロディがほんの少し流れ、
続く女性コーラスが美しいです。
物語の幕開け、期待で胸が高鳴ります。。。

2.「彼らの心は天国に」HEAVEN ON THEIR MINDS

♪「私は今 わか~るのだ 明日の~ことが~すべて~
  神様と だれも~彼を~呼ばなく~なれば~どうなる~
  ジーザ~~ス!!
  あなたまでが 自分のことを 神様だと 信じるとはぁあっは
  今までした よいことさえ
  やがてあなたのあだになるぞ あぁっは~・・・」

『ジーザ~~ス!!』声に。。。唖然!?
続く、「・・・信じるとはぁあっは」や「・・・(あだになるぞ)あぁっは~!」も。。。
叫び声のように絞り出す高音、かすれた裏声。。。
中低音は良いのに。。。
如何せん、高音が。。。
ユダ役は寺田稔です。(俳優の寺田農とは別人です。)
ミュージカル「ヘアー」にも出演している実績のある人ようです。
ウィキペディアによると、
『その独特の歌唱法や表現力で、ユダ役としての彼を知る演劇ファンは今も多い。』
とのこと。

声の綺麗さだけで善し悪しが決まるわけではないことは重々承知しているつもりです。
例えばミュージカル「WE WILL ROCK YOU」でポップ役が歌う「輝ける日々」、
その何とも言えない味わい深い歌声にグッときました。

今回はCDを聴いているので、歌声だけで演技がわかりませんし、
この曲を聴いている時点では、私がまだ気がついていない何か魅力がきっとあるのでしょう。。。


日本のJCS アルバム・レビュー ~DADAさん~_d0079799_2320146.jpg映画で演じたカール・アンダーソンのユダがとても印象的でした。
ネットで観た他の人が演じるユダもそれぞれ良かったので、
私としてはすごく期待していました。
1973年映画のサントラ盤を聴いたときは涙が止まらなかったのに。。。

ユダの声のこと以外に、
今回は歌詞が日本語なので聴いていて感情移入しやすいと思っていたのですが、
メロディよりも歌詞の意味を知ろうと意識し過ぎて、
かえって感情移入できなかったせいもあるかもしれません。

そんなわけで、ちょっとさめた感じでその後の曲を聴くこととなります。

3.「何が起こるのか教え給え」WHAT'S THE BUZZ
~「不思議な出来事」STRANGE THING MYSTIFYING


男性コーラスに続き、
鹿賀丈史のジーザスが登場です。
♪「な~ぜ知りたい 思いわずらうな~ 明日のことなど~・・・」
う~ん。張りのある良い声ですね。
♪「どうぞ冷たい水で 頬を冷やしてください・・・」
久野秀子のマリアの歌声も聴こえてきます。。。

4.「今宵安らかに」EVERYTHING'S ALRIGHT

優しいマリアの歌声ですね。
とても清らかな感じがします。
♪「・・・ひとみ~閉じて心しずめましょ~」
安らかにやすめそうです

5.「ジーザスは死すべし」THIS JESUS MUST DIE

アンナスは菱谷紘二です。
水島弘のカヤバはズッシリと響く低音が魅力的です。

6.「ホザナ」HOSANNA

群衆のコーラスが素晴らしいです。

7.「狂信者シモン」SIMON ZEALOTES
~「哀れなエルサレム」POOR JERUSALEM


シモン役は沢木順です。
若々しくて力のこもった歌声に聴こえます。
狂信者シモンも群衆もジーザスの力に過大な期待をかけます。

翻って、ジーザスは静かに心情を歌います。

8.「ピラトの夢」PILATE'S DREAM

平野忠彦のピラト、こちらの低音もゆったりと落ち着いた素敵な声です。
ここは説明調の歌詞なのですが、その声に聴き惚れます。

9.「ジーザスの神殿」THE TEMPLE

 「あ~~~~ ここは私の祈りの場だ~~・・・
  ・・・出て行け~ 出て行けぇ~~~」

鹿賀ジーザス怒り、叫んでいます。

弱者がジーザスにすがりついてくる場面もドラマティックです。
 「あぁ~・・・ 私は無力だぁ~~・・・
  ・・・うゎ~~~ 自分でなおせ!」

ジーザスの言葉とは。。。

10.「今宵安らかに」EVERYTHING'S ALRIGHT
~「私はジーザスがわからない」I DON'T KNOW HOW TO LOVE HIM


「THE TEMPLE」のシーンの後だからなおさら「I DON'T KNOW HOW TO LOVE HIM」の美しいメロディが
心に響いてくるのですね。
「私はジーザスがわからない」翻訳が少し硬いかもしれませんね。
音に乗せるために文字数制限もあるでしょうし、仕方がないのかな。
ここはペルシャ猫さまの翻訳で聴いてみたいところです。
歌い方は、切ない思いを熱唱と言うよりは、鈴が鳴っているようなとても優しい感じを受けます。
今回は泣けませんでした。。。

11.「裏切り」DAMNED FOR ALL TIME
~「賞金」BLOOD MONEY


出だしはギターの音。そして、その後のフルート(?)の音がとても綺麗です。
さらに続く電子楽器を含めた演奏とのコントラストが妙です。
ジーザスを裏切ろうとするユダ、語呂の良い歌詞(一部字余りもありますが)、
この曲には、だみ声が合っているのかな?

12.「最後の晩餐」THE LAST SUPPER

美しいメロディ。。。あぁ、「最後の晩餐」の男性コーラス大好きなんです。
劇団四季も良いですねぇ。ウットリ。。。
でも、物語上はそんなのんびりとしたことは言っていられません。ジーザスの激しい怒り。
ユダとの対立。

13.「ゲッセマネの園」GETHSEMANE…I ONLY WANT TO SAY

♪「父なる神よ~ 聞きたまえ~ 毒の杯を この手から取りたまえ
  今の~私に 昔の~力はない ・・・」

鹿賀丈史の「ゲッセマネの園」も素晴らしいです
歌声は、高音、低音とものびがあり、そして、何ともいえない色気がありますね。
歌声だけ聴いているのですが、苦悩するジーザスの姿が目の前に浮かんできます。
身も心も疲れ果てたジーザス。
神に問いかけるジーザス。
死を覚悟するジーザス。
ジーザスの心の内が歌声から伝わってきます。

神はどうしてジーザスに試練をお与えになるのでしょう。。。

14.「逮捕」THE ARREST

何かが壊される音が。。。
不安感が徐々に増していきます。
追い立てられられるようなメロディと歌詞。

15.「ペテロの否認」PETER'S DENIAL

ペテロは滝田栄が演じています。
一生懸命歌っていて好感は持てます。
「違う!」と叫ぶメロディのつかないセリフが良かったです。

16.「ピラトとキリスト」PILATE AND CHRIST

低音を効かせて歌うピラトですがキリストの冷静で落ち着いた様子に少し動揺しているのでしょうか、
歌だけからもそんな感じが伝わってきます。

17.「ヘロデ王の歌」KING HEROD'S SONG

ヘロデ王は市村正親です。
上手いですよね。聴いていると彼独特の世界に瞬時に引き込まれます。
不思議な響かせ方をさせているというかどう説明すれば良いのかわかりませんが、
CDでは音声を加工してあるように聴こえます。
実際の舞台ではそうではなっかたとネットで見たことがあるような?(すみません、未確認情報です。)

18.「やり直すことは出来ないのですか」COULD WE START AGAIN PLEASE?

滝田栄の歌声、「ペテロの否認」の場面で叫びながら歌う声よりも、
こちらの場面のように静かに歌う声の方が聴き心地がいいかも。。。

19.「ユダの自殺」JUDA'S DEATH

う~ん、ユダの歌声。。。
♪「私はわからない どうしてあげたらいいのか やつは ただの人
  王様じゃない 同じ ただの ・・・ どうして 愛したのか ・・・」

 「オレはなぜ死ぬ? なぜだ? なぜだ? なぜだ? ・・・」

惨めで哀れな感じはすごく上手く表現されていると思います。
それを表現する為にはこの声が合っているのかな?

20.「ピラトの裁判と鞭打ちの刑」TRIAL BEFORE PILATE

 「1 2 3 4 5 ・・10・・20・・30・・35 36 37 38 39」

もうやめて! 聴いているだけでも痛いです
鞭打ちの音が響きます。

そして群集心理が恐ろしいです。
♪「・・・それが任務 つとめなのだ 平和の為なのだ 十字架に 十字架に 十字架に さあ かけろ!」
群衆があおり立てます。

21.「スーパースター」SUPERSTAR

前奏、いつ聴いても素晴らしいですね。
ソウルガールも綺麗なコーラスです。
ユダは。。。
1973年映画のカール・アンダーソンが演じるユダの「スーパースター」の場面は圧巻でした。
今回CDを聴くにあたって、この場面も期待していたのですが。。。

22.「磔」CRUCIFIXION
23.「ヨハネ伝・第19章41節」JOHN NINETEEN FORTY-ONE


釘を打ち付ける音。
人々の笑い声。
不協和音。
神に向かって囁くジーザスの声。。。


ユダの歌声について。
演出家がなぜ彼を起用したのか今ひとつまだわからないのですが、
私の30数年前のうる覚えの記憶ですが、
1973年映画のカール・アンダーソンが演じたユダは、
どちらかというと強い人物に感じました。

1976年当時の劇団四季公演でのユダの描き方がどうなっているのか、
公演を全編通しで実際に観たことがないので何ともえませんが、
JCS四季1976年東京キャスト盤CDを聴いた範囲で私が感じたことは、
「ユダの自殺」の場面では、
彼の死に際のセリフ、
「・・・なぜだ? なぜだ? なぜだ?・・・」
の声に、惨めさ、そしてバックのコーラスでも歌われているように哀れさを感じます。
もし、そういうものを表現したかったとすれば、その為にはあの声が必要だったのかなとも思います。
ユダにとってはとても重要な場面ですから、その場面をより良く表現する為には、
オペラ歌手のように美しくて綺麗な歌声よりも彼の歌声の方が合っているのかもしれません。

ほかにも、「最後の晩餐」の場面でジーザスとユダの二人のやり取りを聴いていると、
ジーザスの美しい歌声とユダの醜いと言っては言い過ぎですが、
その歌声の違い、コントラストがとても興味深かったです。
その声の対比によって、二人の対立する心情やジーザスの清い心が強調されるように感じます。

そしてこの場面の後半、ユダの
「私は理解ができない・・・」、
彼のあの歌声から、ユダ自身の不安な気持ち、自分ではどうすることもできない嘆きを感じます。

う~ん。ということは、ユダは、彼で正解だったのでしょうか?
彼は海外で演劇を学んでいるようです。
歌声を聴いただけで判断するのは難しいですね。
演技も観てみたかったです。
やっぱりよくわかりません。。。

1973年映画のカール・アンダーソンのユダの印象が強烈だっただけに、
つい、つい、ユダにこだわってしまいました。

最初の方でも述べたとおり、声の綺麗さだけで善し悪しは決められないことはわかっているつもりですが、
そうは言っても、それでもやっぱり声に惚れて、その役柄が好きになることはありますよね。
その人の歌声を聴いていると何とも言えない心地良さを感じる、
それは理屈じゃなくてその歌声が好きか嫌いかの感覚的なことなので。。。
そう意味では彼の歌声は私にとってはちょっと。。。ね。
何か独特の魅力があるのでしょうが。。。


なぜ、このCDからはロックを感じないのか。ペルシャ猫さまがおっしゃるとおり、このCDからは、あまりロックを感じません。
というか、意識していないと、これがロック・オペラだということを忘れてしまいます。
どうしてなのでしょう。

演奏のせい?歌声のせい?歌詞のせい?歌い方のせい?

1973年映画で私が一番印象に残っているのは「スーパースター」の場面です。
逆に今回のCDで感想が書きにくかったのがこの「スーパースター」の場面です。
1973年映画のサントラ盤を改めて聴き直してみました。
この場面、1973年映画では当然ロックしています。

1976年四季CDとは何が違うのでしょうか?

演奏は極端に違うとは思えません。
確かにカール・アンダーソンは良い声をしていると思います。
でも、声が綺麗ではないロック歌手はたくさんいるわけで、
だから、ユダの歌声のせいではないと思うのですが。。。
歌詞。四季の歌詞は、なんだかもっさりとした感じがします。
音にはちゃんと乗っているのですが、何か違うような気がします。
歌い方は。。。ノリは良いと思うのですが。。。
ユダが登場しない場面もロックっぽさを感じません。
このことについてもよくわかりません。謎が残ります。。。


ユダの歌声に少々困惑したせいもありますが、
今回は一歩引いて少し冷静に聴くことができました。
いつもちょっと熱すぎるので時にはこういう聴き方も良いかもしれません。

「ゲッセマネの園」の場面でのジーザスの心の内などは日本語の歌詞のお陰でわかりやすかったのですが、
全体的に日本語の言い回しが少々硬いような感じもしました。
そんな中で、鹿賀丈史のジーザスは感情豊かな歌い方で素晴らしかったです。
久野秀子、のちの久野綾希子ですね。
たしか久野綾希子だったと思うのですが、舞台で聴いたコーラスラインやキャッツでの彼女の歌声と比べると、
今回CDで聴いたマリアの歌声の印象は、優しくて、清楚。ちょっと線が細いように感じました。
名前が異なっていたので、最初別人かと思いました。
あと、全編コーラスがとても美しかったのが印象的でした。


録音されたものでも臨場感溢れる良いものはたくさんあるでしょうが、
ミュージカルやコンサートのLIVEを体験して感じたことですが、

やっぱり生は素晴らしいです

JCSは音だけ聴いていても感動する素晴らしい作品だと思いますが、
ミュージカルは総合芸術だと思うので、実際の舞台を体験したらきっとまた違った感動があると思います

JCSの舞台を体験したこともなくCDの音声のみを聴いて感想を述べることは少々おこがましいかとも思いました。
物語全体の感想や、登場人物の心情、この公演ならではの特徴について述べることができず、
一曲、一曲の感想にとどまってしまい、貧弱な内容に恥ずかしく思っています。
それでも今までに、ペルシャ猫さまをはじめみなさまからJCSの数多くの興味深い貴重なお話を伺って、
何とかここまで書くことができました。感謝いたします。

稚拙でつたない文で恐縮です。最後まで読んでくださってありがとうございました。(DADA)
by tomokot2 | 2007-03-08 00:01 | JCSアーカイブス


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