日本のJCS 1976年キャストCD

私と劇団四季との出会いは、子供の頃の「夏休みこどもミュージカル」でした。母に連れられて何度かNHKホールに観に行きました。楽しかったなあ。30数年経過した今でも、「幕を開ける歌」や「王様の耳はロバの耳」という歌を歌えますよ。

時は流れて、高校生になったある日、先生に連れられて日生劇場に観に行ったのが、「ひばり」でした。今は亡き藤野節子さん主演。市村正親さんも出てました。先生がある女優さんと知り合いで、生徒数人のグループで、楽屋にもちょこっと入れていただいて。それからですね~。舞台にはまったのは。

鹿賀丈史、久野綾希子主演で、「ウェストサイドストーリー」も観たし、そう、「ジーザスクライストスーパースター」も観たんです。どっちが先だったかな~。JCSが先だったかな~。今日書くのは、76年のCDをもとにした、鹿賀丈史主演のJCSにまつわるものです。最近のものを観ていないので・・・。

d0079799_254034.gif収録:1976年 東芝EMIスタジオ
収録時間:Disc(1)45分05秒 / Disc(2)48分27秒
配役:鹿賀丈史(ジーザス)、寺田稔(ユダ)、久野秀子(マリア)、水島弘(カヤパ)、菱谷紘二(アンナス)、瀬下和久(司祭1)、吉谷昭雄(司祭2)、光枝明彦(司祭3)、沢木順(シモン)、滝田栄(ペテロ)、平野忠彦(ピラト)、市村正親(ヘロデ王)、他

↑ 懐かしい名前のオンパレードです。散々、四季は観に行きましたから~。





d0079799_444931.jpgジーザスは、まず鹿賀丈史さんの声にやられましたね。「何が起こるのか教え給え / What's the Buzz?」の、 ♪なあ~っぜぇ~っし~りたいっ、思い煩うな~♪ の脳味噌を震わせるような高くて、やたら響きの良い声。ここはCDで、ちょっと太い声で歌ってますが、私が観たときには、のっけからいきなり、突き抜けるようなテノールで入ってきちゃったんです。うぁ~。この人の声、何?もう、心臓わしづかみにされました。早速レコードを入手して、聞きこみました。

鹿賀さんって、普段からほんとにかっこよくって、当時、楽屋口で待っていた友人は、出てきた鹿賀さんが、ロングの毛皮のコートのポケットからいきなりリンゴを取り出して、「食べる?」なんて言いながら、ガブっと食べちゃったんだけど、それがまた「らしくて」良かったと言ってました。劇団員さんから聞いた話では、飲みに行ってもすっごい面白くて、グラスとかパクッっとくわえちゃうとかって。ほら、口が大きく開くのですよね、あの方・笑。
彼のジーザスは妙に色っぽかったですねぇ。ただ、苦悩という部分では、演出の関係もあって、それほど大きなものにおしつぶされそうだという印象は、あまりなかったです。でも、本当に本当にステキでした。

そうそう、考えたら、セバスチャンバック同様、鹿賀さんはジーザスもジキルとハイドも主演してるんですよね。(写真はジキルとハイドのときのものですぅ)


d0079799_465527.jpg久野秀子っていうのは、後の久野綾希子さんですね。改名後も愛称はずっと「デコ」。大学で声楽を学んだ久野さんは、娼婦らしさよりも、純粋な乙女のような透き通った歌声。私には、むしろ聖母マリア様のような印象でした。四季の女優さんたちって、かわいくて清純なタイプが多かったです。

平野忠彦さんもオペラ畑の方なのですよね。まだまだ日本のミュージカルが成熟する前の時代ですから、オペラの方を配置したのは、考えてるなあと思いました。初演のマリアは、芸大出身の人気オペラ歌手、島田祐子さんだったし。四季はもともとフランスの戯曲(アヌイ・ジロドォ等)を上演する劇団だったので、ミュージカルの訓練って、四季でもまだまだ確立されていない時代だったと思います。

結構ね、ミュージカルから入った鹿賀さん達とストレートプレイ一筋の俳優さん達の間には、壁っていうのかな、あったみたいですよ。

もんたよしのりって覚えていますか?「ダンシンオールナイト、言葉にすれば~」ってあの曲がヒットした歌手もオリジナルキャストでした(舞台は初演だけだったようですけど)。彼の声かな~っていうのがCDに入っていますが未確認です。

市村正親さんのヘロデ王は、もぅ~~最高でした。よく宝塚みたいって言われますけど、ジュリーみたいっていうのか、とにかく、あ~もっと観ていたいというようなおとぎ話か何かの王子様っていうのかな。きらきらしちゃって。CDでは、ちょっとささやくように歌っていますが、舞台では、踊るし、ステキに歌うし、ミュージカル~っていう場面でしたね。

あの演技派女優、三田和代さんが、♪あなた、どこかで、あ~そうだ、あの人といたでしょう?覚えてるわ♪ という「井戸端の女」を歌っていると思います。三田さんの「オンディーヌ」、大好きだったなあ。ほんとにすごくステキな女優さんです。

滝田栄さんのペテロ、いいんじゃないでしょうか。ただ、ユダは・・・。う~ん。すごく苦しそうっていう印象しか残ってないのですよねぇ。あまり好きなタイプの声ではなかったし、ジーザスを愛している部分は私には舞台では感じられなかったのですね。

CDのユダ、寺田稔さん。この人は謎です・笑。どうしてこの人が配役されたのか。実際に彼のユダを観た人は、すっごく独得で面白かったって言ってましたが、今は彼を知る人は、もう私の周りにはいなくて、どう凄かったのか誰にも聞けないのが残念です。CDの寺田さんは、これは、歌っているのかな~。JCSは公開オーディションだったので、こういう方も応募してこられたんでしょうけど、う~ん。彼のユダは、鹿賀さんとのバランスもとれてないと思うし、まったく原曲とは違うユダさんです。。。。

芝清道さんという方のユダが定評があるようですね。私はYouTubeとかでちらっとしか観ていませんので、舞台で観てみたいですね。

CDを久しぶりに聴いてびっくりしたのは、序曲のアレンジからロック色がまったく抜けていること。マジ?全体的にロックの激しいビートが響いて来ないのです。これは何故?こんなんだったっけ~。舞台を観たときには、ずんずんとからだに響くビートがあったのになあ。

あとは吉井澄雄さんという方だったかな~。彼の照明は素晴らしいんですよねぇ。
なんて言うか、役の心象風景を光で表現できるんですよ。四季のJCSの魅力のひとつですが、吉井さんはどんな作品の照明も印象に残る方・・・っていうか、知らずに観てもきっと、あら、この照明は吉井さんかな~って思わせるような方です。私はジャポネスクバージョンっていうのは観ていなくて、エルサレムバージョンのシンプルな舞台しか知らないのですけどね。何もない荒野のセットで照明が描き出す効果は、本当に見事でした。あ、でも、沢田祐二さんもJCSの照明はやってらっしゃるから、初演は吉井さんで、あとから沢田さんなのかな?このあたりのことはちょっと今はまだ調べていません。

あと、舞台美術家の金森馨さんも、大好きです。

岩谷時子
さんの訳詞は、苦労のあとは見えてもちゃんとあてはまっているなと思いますが、JCSエンスーさんはロックっぽさがなくなっている~って言ってましたね。そうですねぇ。確かにジーザスが ♪父なる神よ~♪ と歌い出すのは、ちょっと唐突かな~という感じもしますけどね。訳ってほんとに難しいですよ(あ、なんか自分に対する言い訳っぽいかな^^; 仕事が英語関係のこともしてるものですから・・・)

四季のJCSについて、演出家の浅利さんは、はっきりと、「美しい若者の物語」というコンセプトを明言しています。キリスト教の土壌がほとんど無いと言っていい観客に、どのようにイエスの受難の物語を見せるか・・・という答えが、宗教的な部分を否定もしないけれど、得に意識もしない・・・ということらしいのです。

四季のJCSは、本当に美しいです。まず、ジーザスを演じる俳優さんは大抵新人俳優で、見栄えのする、もちろん実力も伴った方たちですが、「美しい」という点では他国のジーザス役者さん達の多くをはるかにしのいでいるかもしれません。


ただ、イエス様が理想に燃える「美しい青年」だとすると、ユダがどうして裏切るのか、という部分や、スーパースターという曲の解釈もかなり変わってしまうような気がします。実は、四季の舞台では、ユダとイエスの対立よりも印象深いのは、ジーザスと群衆の関係です。

さっきまで、あなたについて行きます、愛しています、と叫んでいた群衆が、ジーザスが逮捕されると豹変するわけです。この辺の群衆心理を非常に丁寧に、きっちりと描いています。四季はアンサンブルが素晴らしいという定評がありますが、群衆たちのダイナミックスが四季のJCSの魅力になっているのは間違いないでしょう。

後年、映画館でテッドニーリーとカールアンダーソンの映画を観た私が、全く別の作品のように感じたのは、いたって普通の反応なのではないかなと思います。

四季は、ロンドンでJCSを上演して良い評価を得たようですし、作者のロイドウェバーも四季が何度も彼の作品を上演しているのを見てもわかるように、良好な関係です。

ただ、四季以外でもJCSを日本で観てみたいなというのは正直な気持ちです。米国では地方劇場や大学でJCSは上演されていますし、本当は、日本でも外国プロダクションでのJCSの上演があったらどんなにいいかなという気持ちはあります。

さて、四季がまたいつJCSをスケジュールしてくれるか分かりませんが、そのときには是非観たいなと思います。

こちらで、、エルサレムバージョンのVTRが観れます。
by tomokot2 | 2007-03-07 03:28 | JCSアーカイブス


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