セバスチャン・バック 

1971年のブロードウェイ初演以来、いったい何人くらいの「ジーザス役者」がいるのかしらと思います。なにせ世界中で上演されているので、その数はすごいだろうなと思います。

近年、ジーザスクライストスーパースターをあえて「ロック:オペラ」だと認識している人はほとんどないのではないでしょうか。「ミュージカル」的要素が強い・・・というか、「ロック・オペラ」そのものが「トミー」と「JCS」の2作品くらいであとが続いていないからなのかなと思います。



d0079799_8263064.jpg折角、ロックオペラなんだから、主役に、ロックボーカリストをもってきたらぴったりなんじゃない?ということなのか、分かりませんが、元スキッド・ロウのセバスチャン・バックがジーザスを演じたと知ったときは、かなりビックリしました。ちなみに写真のバズ(セバスチャンの愛称)はJCSのときのじゃありません。

特にファンという訳ではないからヒット曲くらいしか知らないのですが、先月ウドー・ミュージック・フェスティバルで来日する直前のインタビューをネットで見つけて聞いて、本当に音楽を愛している人なんだなと思いました。
一回しか聞いてないから、正確な言葉じゃないけど、若い駆け出しのミュージシャンから自分たちへのアドバイスをくれないかと言われて、バズは急に真剣になり、「絶対にドラッグに手を出しちゃいけない。ボーカルレッスンをきちんと受けること。そして夜も遊びに行こうぜ~って言われても翌日ステージがあるなら断れ。絶対に自分は行かない。」と。本当に若者たちを思った言葉だと感じ、この人って、実は、すごくまっすぐで正直な人なのかもと思いました。(そうは言ってもbad boyの過去はありまして、2002年にバーでバーデンダーを脅した上にマリファナ所持と麻薬使用器具の所持で逮捕されちゃったんですよね。保釈金1万ドルを支払い、釈放されましたが、あれが「クスリ」になって心を入れ替えたのかな~。それにその後、地道な舞台経験も積んで更正したのか・・・。)






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       (↑左はアクセル・ローズ)

そしてJCS関連でバズのことを調べるうちに、不覚(?)にも涙するくらい感動したので、ちょっと長くなりますが書かせて下さい。

スキッドロウ解散後のソロ活動の中で、バズは「ジキルとハイド」とか「ロッキーホラーショー」に出演し、2002年11月から2003年4月までJCSに出演したのですが、そのときのユダは73年の映画でユダを演じたカール・アンダーソンでした。バズは、公演スタートの2ヶ月前に父親を白血病で亡くしており、すべてのパフォーマンスを父に捧げようと決意したそうです。カールはバズの倍近く年上でしたが、二人の信頼関係は篤く、バズは「カールと同じ年代の人でカールの10分の1もエネルギーのある人をみたことない」と言っており、彼と過ごせたことをどれほど幸運に感じているか切々とつづっている追悼の文章を読みました。

d0079799_2346579.jpgそれは、インディアナポリスでの出来事でした。開演1時間前にカールは自動車事故に遭遇します。カールは直後にバズに電話し、自分は膝をちょっとケガしただけだが、事故の処理で舞台に立てないということを連絡してきたのです。慣れない代役と芝居をすることになった自分を思いやってカールは、一刻も早く舞台の準備をして欲しかったのだろうとバズは回顧します。そしてこの事故によってカールの白血病が発覚したのでした。バズの父と同じ病でした。

カール・アンダーソンは2004年に亡くなりました。享年58歳。

カールは週に8回、半年以上もの間100%の力を出して、自分たちに舞台における演技、歌、エネルギー、スタミナのすべてと、そして何よりも情熱を教えてくれたといいます。そして、カールが亡くなったのが月曜日だったということについてバズは次のように哀悼します。、「カールが神に召されるのは月曜日にしか許されなかった。ブロードウェイの灯りが消える唯一の日、月曜日にのみカールは自由になれたんです。」


d0079799_154671.jpgこんなふうに誰かのことを讃えることができるバズもすごくイイ奴だ~と思いました。なんか、ジーザスを演じる役者さんたちは、何て言うのかな、ちょっとすごいSOULを持っているのかもしれないな・・・なんて思いたくなるのは、ひたすら私がJCSバカだからかな。バズのゲッセマネの園 です。ご多分に漏れず賛否両論あったようですが、カールとのジーザスとユダを観てみたかった・・・・。
by tomokot2 | 2006-08-05 00:08 | ジーザスたち


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