劇場映画版アリーナツアーJCSのネタバレ感想文

英国でのアリーナ・ツアーを収録した映画『ジーザス・クライスト・スーパースター』をみてきました。
すでにDVDも出ているのですが、私は今回初めて観ました。
メモもとってないので、記憶に頼っているだけだから、もしかしたらあとから少し修正するかもしれないけど、とりあえず、フレッシュな気持ちで、感想を書いてみたいと思います。

完全にネタばれなので、読みたくない人は、気を付けてくださいね~。




こちらのブログでは、今年、英国のテレビ番組で、アンドリュー・ロイド・ウェバー様直々にジーザス役のオーディションを行う模様をYouTubeを貼ってご紹介しました。
で、選ばれたのがベン・フォースター。
ジュダス役はティム・ミンシン。マグダラのマリア役はロンドン五輪の閉会式でも妖艶な姿を披露した元スパイス・ガールズのメラニーC。
ロイド・ウェバー様はどうしてもアリーナでロックショーの『JCS』がやりたい!ということに非常にこだわっていまして、今回はでっかーい会場での公演でございます。いわゆるコンサート形式なのかと思いきや、いえいえどうして、ちゃんとした舞台版になっていました。来年3月から再びツアーが始まるのですが、とりあえず、こういう情報はまた改めて書くとして、映画のネタばれ感想文を書くといたしましょう。

冒頭、ニュース映像(これはステージ用に編集されたものっぽい?)が流れる。キャスターたちは先の見えない不況、平和を叫ぶデモ、、、といった不穏なユースを伝える。と、ステージはそのままイスラエルの荒野へ。We Will Rock Youのボヘミアンまではいかないけど、かなりロックでチープなファッションの若者たちと、憲兵たちがもみ合う。

ここで、今、世界で起こっていることの本質は、キリストの時代とさほど変わらないのだという導入を行うことで、出演者たちの服装や演出が現代的であることに違和感を覚えさせない意図があるように感じた。

現代風なテイストなので、私にはそこが必ずしもイスラエルという設定ではなく、無国籍=つまり世界中どこにでもあるような場所と時間と空間なのかな~という印象を持った。
一緒に観に行った友人は、イスラエルの民が”アメリカ人”に見えて、ローマが”イギリス”を象徴しているように感じたと言っていたので、これはもう冒頭から、どうお客さんがとらえてもいいよという、JCSプロダクションにありがちな演出だな~と、私のようなJCSファンにはそういうある種の”傾向”を感じた。
あとね、ツイッターとか携帯とかiPadとか~もう、そういう道具がふつうに出てくるし、マスコミもいるよ。
Israel in 4 BC had no mass communication
っていう歌詞とは相反するんだけどね~(笑)

ジーザス役のベンは、お髭は伸ばしていないし、若々しくて活発な青年として存在していて、神秘性とかカリスマ性のあるリーダーというよりは、親しみやすい、それこそ祭り上げられちゃったポップ・スターというイメージがピッタリ。そうか。『スーパースター』というのは、作り上げられるものなんだと、このプロダクションのコンセプトがストレートに入ってきて、既に納得してしまった私。

その人気者をスーパースターたらしめるのは、圧倒的な歌唱力と演技力と美しい容姿のティム・ミンチン演じるジュダス。つまり、ジュダスの裏切りによって、ジーザスは非業の最期を遂げ、未来永劫、世界のスーパースターになるという筋書き。。。
あ~、ティムをジュダス役に迎えたとき、ロイド・ウェバー様は確信したことだろう。このプロダクションは絶対に成功する。。。と。
ティムはJCSという作品を愛し、熟知している人だということをインタビューを読んだり、聞いたりして、へ~と思ったけどそのあたりのことはまたの機会に書くかも。

どこまでも愚かしい使徒や移り気な群衆たちの姿は、え~、あたしたちこんなお馬鹿じゃないよ~と言いたくもなるんだけど、いや。きっと未来の人間から見たら、今の私たちは、同じくらいおバカさんでおめでたいのかもしれないよ。

マグダラのマリアのメラニー・Cは、明らかに姉御肌で、若いジーザスは彼女の魅力にメロメロ~。でも、包容力とか安心感というのとは違う迫力があって、それはハード系ファッションとか化粧のケバケバしさのせいもあったかもしれないが、『I Don't Know How To Love Him』を歌いながら、化粧を拭き取り、いかついレザーのジャケットを脱ぎ捨て、白いドレス一枚になったときに、優しい一人の女になってジーザスを追い求めるいじらしさがにじみ出たと思う。こういう丁寧な演出で、人の心の動きとか、関係がよく表されていたなぁ。

この演技力抜群、魅力爆発なジュダスとマリアが、どうしてあの若く美しいだけが取り柄のような(爆)ジーザスの虜になってしまったのか、前半は理解に苦しむというか、ちょっとそこの部分だけが腑に落ちなくて、あ~この場面でジーザスがほかの俳優、例えば、スティーブ・バルサモとか若き日のテッド・ニーリーだったらなあと置き換えて観てしまった人もいるんじゃないかなぁ。
例えば、『レ・ミゼラブル』のマリウス役があんまり魅力的ではない場合ね、エポニーヌが恋焦がれ、名曲『On My Own』を歌うにあたり、私などは、いや~そんなにあの男に入れ込んじゃダメだよ~と言いたくなるというような感覚?(爆)

でも、実は、ベンのようなテレビ番組でスターになった、となりのお兄ちゃんのような人がジーザスを演るところにこそ、このプロダクションの狙いはあるんだから~と自分に言い聞かせた。
実際、ベンが神々しくなるのは、『ゲッセマネの園』以降、カヤパやピラトとやりとりする場面から。あ~そうだ、わずか3年前、ジーザスはインスピレーションに満ち溢れ、力が漲り、光輝いていたのだということが感じ取れる。
そこはベンの純粋性というか、彼の芯の強さのようなものがしっかりしているからだろうなあと思えた。

そうだ。『ゲッセマネの園』で、ジーザスは自分をyour only sonと言っていて、おぉ!と思った。
そこで神の子、ジーザスが浮かび上がってきた。
だからまったくのふつうの青年だというふうにはしてないんだけど、こういうふうにエンターテインメント作品として作ることができたのはイギリスでの上演だったからなのかも。アメリカにこのまま持っていって受け入れれるのかは私にはちょっとわからないなぁ。
メディアのレビューを読んでいないので、どんな評価が出ているのか、これからちょっと探ってみまーす。

そう!カヤパとアンナスはいい声してましたよ~。これはもう、安心して聴いていられる。
特筆すべきはピラト!!!!
この人が登場した瞬間に私は、吹き出してしまったんだけど。
つまり、雇われて役人、事なかれ主義の管理職というのが一目瞭然だったから。
あ~、ここまでやる気のない総督が、ジーザスとのやり取りで、どこまで壊れていくんだろう~~と非常にワクワクしたんだけど、この人は期待を裏切らなかった!

全体的にカメラワークには少々不満はあって、それは、もっと舞台全体が見たかったっていう点。それが観たい人は、イギリスまで来いや~ということなんだろうけど(苦笑)、ほんとステージにバンドはいるし、あ~~~、ここでジュダスは何してんだ~~、とか、もう画面に映ってないところが気になって気になって。。。

JCSの魅力というのは、お客さんそれぞれが、好きなプロダクションが違っていいっていうところ。

1973年の映画だったら、フラワーチルドレンのような若者たちの中で、教祖として一人別次元にあるテッド・ニーリーのジーザスが好きな人もいれば、ロンドンでの25周年公演のスティーブ・バルサモの熱狂的なファンもいる。また、賛否両論、好き嫌いがはっきり分かれるミレニアム・スタジオ版でJCSと出会ってファンになった人もいる。日本では劇団四季の『ジーザス・クライスト=スーパースター』(=がミソね)を繰り返し観るファンが根強くいるという状況もある。
そういう中で、ロイド・ウェバーが本来、こういう形でやりたかった!という一つの形が今回の英国アリーナツアーであるけれど、これがJCSなんですよ~という定義には絶対にならないんだなぁ、きっと。

世界中で毎日のようにアマチュア、プロ問わずJCSは上演され、映画やビデオは未だに観続けられている。受難劇的だったり、コンサート形式だったり、ときには高校生や大学生による上演だったり、もちろん外国語での上演も数知れない。

はじめに決まりをつけることが出来なかったゆえに今日まで残っているんだろうなと思う。
制作費も安くできるし、主役が数人と、そこそこ歌えるアンサンブルがいれば成り立つっていうか。
それにみんなが知ってるストーリーだし、自由に作れちゃう。

そうやってJCSは、これからも様々な演出で、世界のあちこちで演じられ、ある特定のバージョンしか知らない人たちもたくさんいるという、そういう特殊な作品とし上演され続けるだろうなと改めて感じた。

今回は、歌詞の変更も興味深くて、それはまたいつか比較してみたいと思う。
ほんとにねぇ、また変えたか~って思った~。
そのくらいティム様もアンドリュー様も柔軟に考えているんだね、この作品いついては。。。

私がこの映画を見てすごく頭の中でぐるぐる回ったある歌の歌詞がある。

こいつはサーカス 猿芝居
アルゼンチンは狂いだした
皆叫んでる
あぁ、エヴァ・ ペロン

ライス&ロイド・ウェバーがJCSのあとに生み出したミュージカルの金字塔『エビータ』の冒頭、
エヴァの死を悼むレクイエムのあと、チェ・ゲバラが歌う。。。

私たちが生きる世界は、サーカスなのか、猿芝居なのか。
うつろいやすい世の中にあって、本物とはなんなのか。

やんわりと突きつけられていることにすら気づかないのが、私であり、となりの人であるのだろうな。。。

あとね、最近のロック・コンサートでも演劇の世界でも、大型スクリーンの効果は絶大だと思った。
それをとやかく言うひともいるかもしれないけど、最近の映像の鮮明さとかクオリティは素晴らしいの一言。
それで、お客さんが満足するなら、これからも映像とのコラボが成功するか否かは客足にも大いに影響するよね。

さて、これから全国で上映されるそうですので、お近くの劇場で公開されるときには、
是非、観にいって、ご感想をお寄せいただけたらすご=く嬉しいです!

※あ、それからロイド・ウェバー様が、サラにささげるって最後におっしゃるんですが、それはすごく若いときに結婚した最初の妻のサラさんのことであって、ブライトマンさんとは別人です~~。
by tomokot2 | 2012-12-18 20:10 | ペ猫が観た舞台・ライブ


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